『関西労健』【ひと彩りエッセイ】に寄稿させて頂きました。

一般財団法人関西労働保険協会 様 の機関紙『関西労健』、「ひと彩りエッセイ」に寄稿させて頂きました。

TEPPENの取り組みについて、代表田村久美が心を込めて綴っております。

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(掲載内容一部抜粋)

「もったいない、から始まる未来」

――TEPPENという名の鉄の再生物語  田村 久美(TEPPEN事業 代表)

(略)
時代の流れとともに、周囲の町工場が次々と廃業していく現実を目の当たりにし、夫は「このままでは明るい未来がみえない」と、町工場改革に乗り出しました。
そのタイミングで、「一緒にやってくれないか」と声をかけてもらい、私は初めてこの世界に足を踏み入れることになったのです。

(略)
そんなある日、加工のたびに山のように積み上がる鉄の端材を見て、ふと思ったのです。
「これって…もったいないな」

その感覚は、どこか懐かしい記憶とつながっていました。
思い出したのは、祖母の口癖です。
「もったいないって、物にも心がある証拠やで」
小さな布の端切れで袋を縫ったり、割れた湯呑みを花瓶にしたり。
昔の人は、限りあるものに敬意を払い、当たり前のようにモノを大切にしながら暮らしていました。
その精神は、今の時代だからこそ、より一層大切にしなければならないのではないか――。
そう強く思い、私は新たな挑戦を決意しました。

それが 「TEPPEN(テッペン)」 というプロジェクトです。
鉄の端材や廃材を、インテリアやオブジェ、時には音を奏でる風鈴などにアップサイクルし、暮らしの中に新たな命を吹き込む。
地球にも、人の心にも、やさしいものづくりを目指しています。

人から見ればただの“ガラクタ”だったものが、「なにこれ、素敵!」と声をかけてもらえる瞬間に、私は何度も励まされてきました。

(略)
人生も、ものづくりも、決して一直線ではありません。
思い通りにならなかった経験や、誰かに否定された出来事も、見方を変えれば、味わいとなり、力になります。
年齢を重ねたからこそできること、気づけること、育てられる縁があると、日々感じます。

30代後半に差しかかり、私自身もこれからどんな変化が待っているのか、不安と期待の間を揺れています。
仕事も家庭も、身体も、なかなか思うようにいかないことがある。
でも、「もう遅い」ではなく、「今からできることがある」と信じて、少しずつ、目の前の鉄に向き合っています。

「もったいない」「大事にする」「丁寧に暮らす」
それは、ただ過去を懐かしむだけでなく、これからの未来に必要な大切な力。

(略)
今日もどうか、心と身体を大切に。
そして、目の前の“もったいない”の中に、未来の宝物が眠っているかもしれないということを、ふと思い出していただけたら嬉しいです。

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